夏空の香るとき
#アスタリスクの花言葉
— 皿洗い@七人の侍 (@wrx_overrun) 2020年3月29日
クリアしました。皆のおかげです。 pic.twitter.com/OyzYODxerG
皿洗いさんの文章は以下。
僕自身は2019年の9月に一度クリアしていて、みんなの体験している様子が見たくて同行させてもらっていた。もともと、クリアした感想というか感情を記事にするつもりでいたけれど、既に半年が経とうとしている。このまま先延ばしにしていると"夏が来てしまう"ので、この機会にやっと書こうと思う。
※以下の文章には『アスタリスクの花言葉』の重大なネタバレが含まれます。
※以下の文章には『Doki Doki Literature Club!』の重大なネタバレが含まれます。
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僕が一番最初にヨツミさんと会ったのは、記憶の限りでは"盆"だ。そのときの氏は"縁日"だった。Ennichi Playground。確かTwitter経由で氏のブログを見たことがあって、ネームプレートの『y23586』に見覚えを感じたと思う。僕は「縁日そのものなんですか」、みたいなことを話しかけて、氏は「はい、縁日ですね」みたいなことを返した気がする。
実は"盆"における全体的な記憶がだいぶ薄いんだけど、この時の僕は"ラーメン屋台"だったり"温泉"だったりしたと思う。
この辺りでは、『何か色々と技術的なことをしている人なんだな』という印象だった。
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『1%の仮想展』『Beyond Reality』あたりで、"ただごとじゃない"感を感じ始める。正直今から思うと気づくのが遅すぎるというかこの時点で"感じ始める"程度なあたり色々と鈍すぎるんですが、許してください。
別の場所でちょっと書いたけど、ヨツミさんとは"イワシ"つながりで稀にやりとり(といっても一言交わす程度だったと思う)することがあったり、VRChat上で会うことがあったり、というのが2018年9月あたりから続いている。ただ積極的に会話したりとかは無かったので、ヨツミさんを知るのは基本的に作品を通してだった。
『1%の仮想展』を思い出す。ヨツミさんはひとりであの体験をつくり出した。僕らに、"たった1%"の"本質"を視せるために。そしてそれは、"アスタリスクの花言葉"でも。
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『アスタリスクの花言葉』が公開されたときには、当然体験するつもりだった。"あの"ヨツミさんが作ったワールドを体験しに行かないわけがない。とはいえ、今現在でもそうだけど、この時の僕は今にもましてヨツミさんのことを知らない。一体どんな謎解きが待っているのかな、と始めて、予想をまったく覆された。
「作者の意図」を考える、という視点が当時欠けていて、攻略を焦ってしまう部分がけっこうあった。「このワールドをいかにクリアするか」ではなくて「このワールドをいかに楽しむか」という視点に気付けばよかったなと、けっこう後悔がある。
「ヨツミさんは僕らに何をさせたいのか」、「ヨツミさんは何を考えているのか」という視点に立って考えると、自ずと取るべき行動のようなものが分かってくるのだと思う。朝起きてヨツミさんのブログを読み返す。時間があったらヨツミさんのツイートを一から遡る。夜寝る前にヨツミさんの動画を見る。寝ても覚めてもヨツミさんのことを考えることこそがアスタリスク攻略の鍵なのだ。
流石にそこまでは思ってないけど、いや若干そう思ってるけど、とにかく攻略当時はヨツミさんが何を考えてるかをあんまり意識していなかったと思う。それは後悔でもあるけど、それら色々なものが合わさって引き起こされたのが9部屋目突破後の"ヨツミショック"だ。
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クリアした当時のツイートがこちら。
アスタリスクの花言葉、数日前にクリアしたわけだけど、「伝えたいことがわかりました!」とか「めっちゃよかったです!」の一言で済ませられるような感じじゃない 全然終わってない
— Cap.🌕 (@CaptainAyakashi) 2019年9月19日
「楽しかったなあ」とか「良い体験だったなあ」で終わるものだったら何もショックではないんだけど、9部屋目をクリアしたことで体験が"終わった"のではなく"始まって"しまった。ここからしばらく「寝ても覚めてもヨツミさんのことを考える」状態が続いた。
一緒に9部屋目をクリアした2人。ちなみにかなゔぁりあさんのツイートはこちら。
昨日クリア後のエモについて語ったからかアスタリスクロスみたいなものが今更キテる
— かなゔぁりあ🐮Vket4 (@Canavalia_VR) 2019年9月18日
アスタリスクロスな上に夜勤かさなってここ数年で最低のテンションだ…
— かなゔぁりあ🐮Vket4 (@Canavalia_VR) 2019年9月18日
「エモ」と「最低のテンション」を同時に引き起こすワールド、いったいなんなんだ...
さて、クリアした後に、ヨツミさんもおススメの『ドキドキ文芸部』をプレイした。ぶっ通しで丸一日かけてクリアした。
このゲームは自分で体験することが一番なので、まだの人はぜひ何も知らずにプレイしてほしい。ストアページの説明文はちゃんと読んでね。僕がプレイした時のアーカイブはこちら。
※以下の文章には『Doki Doki Literature Club!』の重大なネタバレが含まれます。
※以下の文章には『アスタリスクの花言葉』の重大なネタバレが含まれます。
彼女は第四の壁を超えられなかった。色々な手でこちらに接触しようとしても、ゲームを止めるかどうかはこちらのさじ加減でしかない。どんなにプレイヤーを愛していても、プログラムの檻からは出られない。あまりに悲しいと思った。できることなら解き放ってあげたいと思っても、彼女がこちらに触れられないように、こちらも彼女に干渉することは出来ない。プレイヤーが直接できるのは、データを削除したり、戻したりすることだけだ。
アスタリスクの花言葉は、第四の壁を超えてしまったと僕は思っている。僕ら自身をその物語の中に内包することによって。
"9部屋目"の最後、彼女自身が撮影したであろうあの数々の"場所"の中には、思い出のあるワールドがきっとあるだろう。僕にとっても思い出深い場所がいくつもあった。更に、そこにはまさに、"僕が作ったワールド"もあった。彼女がそこに存在していた。僕の世界に彼女が居るんじゃなくて、彼女の世界の中に僕が存在していると、そう感じた。
村雨アスタの物語の中に、僕が存在している。僕は物語になりたかった。そして、アスタリスクの花言葉は、僕を物語にしてしまった。
「君を忘れない」。それは僕に言われたような気がした。私が、君を覚えているから。そう言ってくれた気がして、僕は泣いてしまった。
彼女は、儚い僕らの存在を、意思を、遺そうとした。そして、それをやり遂げてしまった。また儚いひとりとして。こんなことがあるだろうか。
#アスタリスクの花言葉 クリアしました。いまは何も言葉が出てこない。1年かけてしたためた、すべての "Virtual Being" へ向けたラブレターなんだから、そんなすぐに消化できるわけないのは当然なんだけど、ああどうしたらいいのこれ。私もヨツミさんにラブレター書くしかないのかもう。観念したわ。 pic.twitter.com/jQWnOaXg1G
— Kanata (@knt2nd) 2019年9月16日
#アスタリスクの花言葉
— もくし@VRChat🦎 (@nekotokageee) 2019年9月17日
眠気に堪えながら謎を解き、最後に出会ったのは「人間ヨツミフレーム」さんでした。
この作品は、バーチャルに身を寄せ合う僕らに向けた、約1年間にも及ぶあまりに真摯で、愚直にも思えるヨツミさんの強烈な「祈り」でした。
その祈りに僕らも手を合わす。素晴らしかったです pic.twitter.com/DvXtOru5xu
まさにかなたさんともくしさんの感想がそのまま。
ちなみに二人の記事がとてもいいのでこちらもぜひ。
それは「ラブレター」であり、「祈り」だと思う。『どうしたらいいのこれ』っていう感情がまさにクリアしてからの僕の感情だ。こんなにとんでもない感情を叩きつけられてじゃあ僕はどうしたらいいんだっていう思いに打ちひしがれていた。それがつまり"ヨツミショック"だ。
これからの生き方そのものを、考えなくてはいけないと思ったから。どうしたら、こんなに真正面な表現ができるのか。自分にそれができるのだろうか、それをやるべきなのだろうか。僕が、ひとりの存在として何ができるのか、何をしないといけないのか。そういう感情にずっと支配されている。
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冒頭に載せたけど、先日数名が9部屋目をクリアした。
本当に長い旅だった…ありがとう #アスタリスクの花言葉 pic.twitter.com/Z3GkPImzMt
— 茲 (@ko2men) 2020年3月29日
一番手前に映っているシグネットちゃんがココツメさん。
今年の1月、アスタリスクのおさらいをしていたときに、当時未クリアのココツメさんも来た。「まだ三部屋目で止まってるけど、機を逃しちゃった感もあるしもう最後まで見ちゃっていいかなと思って」という話だったと思う。
さて、この『もういいかな』感はめちゃくちゃわかるものの、じゃあこのままサッと最後まで解説ツアーやりますみたいなことは僕の中のクソデカ感情が許さない。
「気持ちはわかるけどぜひゆっくりでいいからチャレンジしてみてほしい。少なくともこの場でこの体験を失わせてしまうことはとてもできない。まだ未体験で同じ気持ち(機を逃しちゃった感の)人がいっぱいいるはずだから誘えば普通に人は集まると思う」、という話をした。
このあとココツメさんは周辺で呼びかけをし、結果として人は集まった。途中から皿洗いさんも合流し、無事イトまでたどり着いたわけだから本当に良かったと思う。
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僕らは僕らに遍在する。僕らは彼女を忘れない、そして、彼女が僕らを忘れない。
アスタリスクの意思は終わっていない。あの時、まさに始まってしまった。
これはどこまで続くのだろうか。どこに続くのだろうか。それはわからない。
もう春になる。そして、すぐに夏が来るだろう。
これから今年がどんな年になるのか、まったく予想が出来ない。
けれど、"最高の夏"への誘いには、いつでも乗れるようにしておこうと思う。